2時間半を超える作品だが、ひとまず楽しんだ。楽しいのだが、タランティーノ監督初期の『レザボア・ドッグス』『パルプ・フィクション』ほど好きではないといったところだろうか。今回はマカロニ・ウエスタンがオマージュの対象となっているけれど、ほとんどマカロニ・ウエスタンを知らないからかもしれない。
 映画評論家の柳下毅一郎氏は「タランティーノが不思議なのは、その引用が何も語っていないという点かもしれない。サンプリング・アーティストならば引用によって元作品を再評価しようとするだろう。だがタランティーノはジャンルの意匠を自由に引用するだけで、ジャンルへの批評を試みるわけではない。」と記している。なるほど批評性というよりは好き勝手に楽しんでいると言ったほうがいいか。

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 すったもんだがあってディカプリオの屋敷に舞台が移ってからは快調で、ジェイミー・フォックスとクリストフ・ヴァルツに相対するディカプリオとサミュエル・L・ジャクソンのやりとりはいい。しかし、それまでの賞金稼ぎの件とか敵討の件は、オムニバスの別のエピソードを見ているような感がある。また、事件の渦中を描写してちょっと過去に戻るという編集があるが、どういう意図なんだろうか? 行きつ戻りつしてダラダラして終わりそうで終わらない映画にも思えた。もっともタランティーノの映画は、ダラダラと意味のない会話のやりとりがあるのが特徴と言えば特徴だからいいのかもしれないが。

 今回引用される作品を『ジャンゴ』観賞後に見てみた。『マンディンゴ』『続 荒野の用心棒』だ。正直、『ジャンゴ』よりこれらの作品のほうがよかった。ごく個人的な感想だが『続 荒野の用心棒』では、寺沢武一のマンガ『コブラ』の場面を思わせる場面がにやりとさせる(裸の女を窓辺に立たせて気を引いておいて脱出するというエピソード)。ぼくの好みとしては『マンディンゴ』が一番で、悲劇的なラストもよかったし、あの時代にバーリ・トゥードのような戦いの映画があったことにも驚いた。
 さすが映画オタクのタランティーノだけあって、オマージュを捧げる対象に間違いはないようだ。