カナダの映画監督アトム・エゴヤンの作品。2003年の『恍惚』のリメイクとのこと。分類すればおそらくエロティック・サスペンスなんてジャンルに入りそうな作品。エゴヤンの映画は『エキゾチカ』がとても好きで、それ以降の作品もチェックしている。今回は遅ればせながらTSUTAYAで監督の名前を発見してレンタル。

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 『エキゾチカ』でもエロティックなシーンはあるのだが、『クロエ』でも冒頭からアマンダ・セイフライドの後姿からも垣間見られる豊かな胸にドキッとする。この映画はいわゆるファム・ファタールものであり、翻弄される側は大学教授である夫(リーアム・ニーソン)と産婦人科医の妻キャサリン(ジュリアン・ムーア)の夫婦である。主役は妻キャサリンのジュリアン・ムーアで、夫の浮気を疑って夫の素行を知るために高級娼婦であるクロエに仕事を頼むことから物語が始まる。

 「夫の浮気を疑う妻」という昼ドラみたいなテーマから、キャサリンとその夫を誘惑するクロエの女同士の共犯関係へと物語は展開していく。舞台は冬のトロントで、夫婦の住むオシャレな邸宅には清潔感があり、エゴヤン映画の妖しさはひかえめといった感じ。
 主役のジュリアン・ムーアは、夫の愛を失いかけた中年女性を脱ぎっぷりもよく演じているが、この映画での注目はタイトルロールのアマンダ・セイフライドだろう。いかにリーアム・ニーソンが硬派でも、あんな女性に言い寄られたら堪らない。アマンダ・セイフライドは西洋人形的な金髪碧眼のかわいらしいイメージなのかと思っていたが、『クロエ』では何度かベッドシーンもあり、素晴らしい肢体を拝ませてくれる(あくまでチラリとだが)。
 物語はクロエの異常性が明らかになるにつれ、サイコものの雰囲気を醸し出す。その後にひとひねり加えたオチもあってなかなか楽しませる。ジュリアン・ムーアは『キッズ・オールライト』でも、複雑な男女の関係に翻弄されていたわけだが……。ただ脚本が監督本人のものでないからか、エゴヤン作品としてはちょっと食い足りないか。