スティーブン・ソダーバーグ監督の最後の映画になる予定とか。ソダーバーグはこれを最後に映画は引退してほかのジャンルに挑戦するのだとか。
 ソダーバーグは26歳で『セックスと嘘とビデオテープ』でカンヌのパルムドールを受賞してデビュー。『トラフィック』ではアカデミー監督賞を獲得。近年は毎年2本の映画が公開されるなど精力的な活動をしていたのだが。まだ50歳だけに惜しい気もする。
 試写会にて鑑賞。公開は9月6日から。

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 バンクス医師(ジュード・ロウ)は精神科医。ある日、自殺未遂の女性患者エミリーと出会う。エミリーは鬱を患っており自殺念慮で突然車ごと壁に激突したのだ。バンクスは入院を勧めるが、エミリーには刑務所から戻ったばかりの夫がいて、エミリーは通院での治療を希望する。バンクスは治療のなかで新薬をエミリーに処方するが、そのサイド・エフェクト(副作用)には夢遊病の症状があった。その夢遊病の最中にエミリーは夫を刺し殺してしまう。
 
 前半の主人公がエミリーだとすれば、後半の主人公はバンクス医師になる。バンクスは患者が新薬の副作用で事件を起こしたことから窮地に立たされる。マスコミに追われ診療所は追い出され、家族との気持ちも離れていく。突然事件に巻き込まれたバンクスはどうするか?

 以下、ネタバレも。観てない方はご注意を!


 信じられないことが起きたとき、人は陰謀論を語りたくなるようだ。9・11テロとかダイアナ王妃の事故死とか、必ず影の組織が陰謀を巡らせてという話がどこからか沸いて出てくる。バンクス医師も同様で「自分がはめられた」と騒ぎ出したときは、家族の誰もそれを信じなかったし、観客のぼくとしてもバンクス医師がありがちな混乱に陥ったのかと疑った。「ヒッチコック的なサスペンス」とか言われているが、そんな荒唐無稽な陰謀が実は本当だったというのでは、サスペンスとしての出来は今ひとつというところだろう。いかにもあやしい登場人物が本当に陰謀を仕組んでいるところもちょっと驚きに欠けるかも。
 『ドラゴン・タトゥーの女』で主役をやっていたルーニー・マーラーがエミリー役。『ドラゴン・タトゥーの女』とはまったく違った表情を見せている。今回も脱ぎっぷりはいい。鬱というのは本人にとっては本当にツライものらしいのだが、この『サイド・エフェクト』では、突然の自殺にしても「本人が苦しそうに見えないなあ」などと思っていると、鬱は詐病だったことがわかる。「なるほどね」と納得したとしても、そこまでして夫を殺害する理由に説得力はない。

 余分なものを削ぎ落とした語り口を目指しているというソダーバーグ。そつがなく普通に楽しめる映画という意味で貴重なのかもしれないが、最後の作品にしては物足りない気もする。もっとも『恋するリベラーチェ』という作品の公開がまだ残っている。こちらはマイケル・ダグラスとマット・デイモンが同性愛カップルを演じるのだとか。