Rotten Tomatoes(ロッテン・トマト)で満足度99%だったという評判で観に行った作品。
 悪くはなかったけれどちょっと評価が良すぎるといった印象も受けた。
 監督は長編2作目のデスティン・ダニエル・クレットン

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 職場らしい何の変哲もない家の前に集まる4人。くだらないおしゃべりに興じていると突然子供が飛び出してくる。それだけでそこが何かしらの厄介な施設なんだとわからせる冒頭はなかなかよかったと思う。
 10代の若者を対象にした短期保護施設「ショート・ターム12」を舞台にした人間ドラマ。18歳になると施設は卒業ということになるらしいが、訳ありで家を離れ保護されている子供たちと、それを保護する側の主人公グレイス(ブリー・ラーソン)たちとの生活を描いていく。新たに入所してきたジェイデン(ケイトリン・デバー)の存在は、グレイスにとって自らの過去を思い出させるような対象で、グレイスはそこに自分の昔の姿を見出していく。

 10代の子供たちが自分の家に居られないという、ちょっと普通でない状態がそれなりにリアリティのあるものとして受け入れられているのは、実際にアメリカが多かれ少なかれそういうところなんだろうと思う。誰にも言えない秘密というと、虐待に加えた近親相姦というのが常識のように登場してくるのだが、ごく平凡に育ったものとしては未だに信じられないような部分もあって共感できるかと言えばそうでもなかった。
 グレイスの彼氏メイソン(ジョン・ギャラガー・Jr.)はとてもいい奴で、妊娠したグレイスが将来を不安に感じたのか調子を崩してメイソンを突き放したときも、戻って来たグレイスを優しく受け止める。メイソン自身も複雑な家庭環境だが、なかなか普通はあんなに人に優しくなることはできそうにない。心の闇を抱えて苦しんでいる少年少女たちが繊細なのはわかるのだけれど、それを受け止める側の過酷さもまた大変だろうと推測され、現実にはそんなにすっきりしないんじゃないだろうか。だから車をぶち壊してすっきりしたりとか、ラストの黒人少年のエピソードなんかはきれいにまとめすぎていて、ほどよい感動作なのかもしれないけれど突っ込みはいまひとつという感じもした。