毛の生えない男の子と、毛深くて悩んでいる女の子という、なかなか微妙な部分にスポットを当てた作品。原作は『惡の華』などの押見修造の漫画で、『アフロ田中』などの松居大悟が監督。結構なキワモノなのかと思って観てみたのだが青春映画としておもしろかった。

 毛のない男の子・太田には『ALWAYS 三丁目の夕日』シリーズの須賀健太。相手役の毛深い女の子・後藤には『シャニダールの花』『中学生円山』の刈谷友衣子

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 誰にでも劣等感のようなものはあって、後藤は女の子なのに毛深いのが悩みで、しかも水泳部だから切実な問題だ。そんなこと打ち明けられるのは、やはり劣等感を抱えている人ということで、高校生なのに未だにアソコに毛が生えない太田が選ばれることになる。太田としても、同じ水泳部でそれなりにかわいい顔をしている後藤にそんなことを頼まれたら断れるはずもない。ふたりは橋の下でこっそり剃毛するという秘密を共有することになる。

 太田はそんな秘部をさらけ出されたものだから、後藤に夢中になり、後藤の毛を剃ることに変態チックな興奮を覚えるようになる。そこに割って入るのが太田に気がある積極的な女の子・坂下(荒井萌)で、ふたりを邪魔して太田を振り向かせようとする。一方で後藤は水泳部の先輩(落合モトキ)のほうに気があってという、なかなか複雑な四角関係を形成することになる。

  「自分の好きな子がほかの誰かを好き」といった構図は、青春にはありがちな黄金パターンだし、それらを演じる若い俳優陣も初々しくてとてもいい。後藤役の刈谷友衣子の水着姿にはそそられるし、片想いの坂下役の荒井萌も元気印でとてもかわいい。そしてうぶな男子高校生から変態へ、最後は狂気のように騒ぎまわる須賀健太はなかなかはまっていたと思う。

 エンディングのモーモールルギャバンというバンドの曲がカッコイイ。