フランソワ・オゾン監督の最新作。邦題はアルチュール・ランボーの詩から。
売春を通じての少女イザベルの「自分探し」の物語。そんなふうに要約すれば、どこにでもある物語と言えるわけだけれど、夏の初体験、秋の売春、冬の日常への回帰と進んできた物語が、春の場面に突入してちょっと意外な展開を見せる。春の場面で登場する人物を演じているのがシャーロット・ランプリングで、その存在感は圧倒的だった。
老齢の彼女の側からは、イザベルの売春に対して羨望の言葉が漏らされる。「もっと勇気があったら、あなたと同じことをしていたかも……」と。しかし、イザベルが彼女に対し批評めいた言葉を発するわけではないから、彼女に会って何を感じ、何を得たのかはわからない。それでも彼女の存在に魅せられていることは確かだろう。いつも無表情なイザベルが、彼女と過ごした後だけに満足げな表情を見せるのだから。監督のフランソワ・オゾンは、イザベルが何に満たされたのかを説明しようとはしない。そんなことは野暮だから。
主役イザベルを演じたマリーヌ・ヴァクトもとても魅力的な存在だった。横顔なんかはジュリア・ロバーツっぽくも見えるときもある。化粧をすると急に大人びて見え、学生と娼婦という二面性をうまく表現していたと思う。マリーヌ・ヴァクトが演じたイザベルは、自分が体験していることを傍から観察しているような、そんな浮遊した雰囲気がとてもよかった。実際に初体験の場面では、自分が男に乗られている様子をドッペルゲンガーとしての自分がじっとりと眺めていた。現実にうまく没頭できないような醒めた感覚がイザベルという少女にはあるのだ。
売春を通じての少女イザベルの「自分探し」の物語。そんなふうに要約すれば、どこにでもある物語と言えるわけだけれど、夏の初体験、秋の売春、冬の日常への回帰と進んできた物語が、春の場面に突入してちょっと意外な展開を見せる。春の場面で登場する人物を演じているのがシャーロット・ランプリングで、その存在感は圧倒的だった。
老齢の彼女の側からは、イザベルの売春に対して羨望の言葉が漏らされる。「もっと勇気があったら、あなたと同じことをしていたかも……」と。しかし、イザベルが彼女に対し批評めいた言葉を発するわけではないから、彼女に会って何を感じ、何を得たのかはわからない。それでも彼女の存在に魅せられていることは確かだろう。いつも無表情なイザベルが、彼女と過ごした後だけに満足げな表情を見せるのだから。監督のフランソワ・オゾンは、イザベルが何に満たされたのかを説明しようとはしない。そんなことは野暮だから。
主役イザベルを演じたマリーヌ・ヴァクトもとても魅力的な存在だった。横顔なんかはジュリア・ロバーツっぽくも見えるときもある。化粧をすると急に大人びて見え、学生と娼婦という二面性をうまく表現していたと思う。マリーヌ・ヴァクトが演じたイザベルは、自分が体験していることを傍から観察しているような、そんな浮遊した雰囲気がとてもよかった。実際に初体験の場面では、自分が男に乗られている様子をドッペルゲンガーとしての自分がじっとりと眺めていた。現実にうまく没頭できないような醒めた感覚がイザベルという少女にはあるのだ。
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