パトリス・ルコントの最新作(と言っても製作は2013年のもの)。日本では昨年公開され、今月DVDが登場した。
病気でもう先が短いと思われるホフマイスター(アラン・リックマン)の職場に優秀な青年ザイツ(リチャード・マッデン)がやってくる。ホフマイスターは自分の後継者にザイツを選ぶ。ホフマイスターにはまだうら若い妻ロット(レベッカ・ホール)がいて、ザイツはロットに惹かれていく。
ベタなラブ・ストーリーだ。それでもルコントの作品に登場する女優陣はどれもとてもきれいに撮られていてそこが魅力だと思う。『仕立て屋の恋』のサンドリーヌ・ボネールとか、『髪結いの亭主』のアンナ・ガリエナとか、『橋の上の娘』のヴァネッサ・パラディとか、どれも忘れがたい印象を残している。
全然関係はないけれど、『髪結いの亭主』のアンナ・ガリエナとルコントは撮影中はあまりうまくいってなかったらしい。それからジャン・ロシュホールとも険悪だったときもあるらしい。そんなことがルコントの本『映画はやめる: パトリス・ルコント、自作を語る』に書いてあった。意外な感じもする。映画の出来はいいのに、撮影現場は違うらしい。
この『暮れ逢い』のヒロインはレベッカ・ホールはとても上品なイメージ。人妻というのがメロドラマ的だし、青年がちょっと変態チックに若妻に目をやるのもいい。階段で先に立つロットの腰に惹きつけられたり、彼女が弾くピアノの匂いを嗅いだりするあたりがルコントらしい(?)。不倫だけになかなか想いは届かないし、そこに戦争が絡んできて……。
というか本当にぼくが気に入ったのは、別キャラを演じていたシャノン・タルベット。主人公の幼なじみ(?)みたい女性を演じているのだが、その風貌が個人的に好み。このキャラが物語にどう絡んでくるのかということが気になったのだけれど、序盤であっさりといなくなってしまったのが残念だった。
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