サイの角のように 独りよがり映画論

映画について自分勝手な感想の備忘録。ネタバレもあり。 ほかのブログから引っ越してきました。

2015年05月

『暮れ逢い』 ベタなメロドラマだけれど、シャノン・タルベットがお気に入り

 パトリス・ルコントの最新作(と言っても製作は2013年のもの)。日本では昨年公開され、今月DVDが登場した。

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 病気でもう先が短いと思われるホフマイスター(アラン・リックマン)の職場に優秀な青年ザイツ(リチャード・マッデン)がやってくる。ホフマイスターは自分の後継者にザイツを選ぶ。ホフマイスターにはまだうら若い妻ロット(レベッカ・ホール)がいて、ザイツはロットに惹かれていく。

 

 ベタなラブ・ストーリーだ。それでもルコントの作品に登場する女優陣はどれもとてもきれいに撮られていてそこが魅力だと思う。『仕立て屋の恋』サンドリーヌ・ボネールとか、『髪結いの亭主』アンナ・ガリエナとか、『橋の上の娘』ヴァネッサ・パラディとか、どれも忘れがたい印象を残している。

 全然関係はないけれど、『髪結いの亭主』のアンナ・ガリエナとルコントは撮影中はあまりうまくいってなかったらしい。それからジャン・ロシュホールとも険悪だったときもあるらしい。そんなことがルコントの本『映画はやめる: パトリス・ルコント、自作を語る』に書いてあった。意外な感じもする。映画の出来はいいのに、撮影現場は違うらしい。

 この『暮れ逢い』のヒロインはレベッカ・ホールはとても上品なイメージ。人妻というのがメロドラマ的だし、青年がちょっと変態チックに若妻に目をやるのもいい。階段で先に立つロットの腰に惹きつけられたり、彼女が弾くピアノの匂いを嗅いだりするあたりがルコントらしい(?)。不倫だけになかなか想いは届かないし、そこに戦争が絡んできて……。

 というか本当にぼくが気に入ったのは、別キャラを演じていたシャノン・タルベット。主人公の幼なじみ(?)みたい女性を演じているのだが、その風貌が個人的に好み。このキャラが物語にどう絡んでくるのかということが気になったのだけれど、序盤であっさりといなくなってしまったのが残念だった。

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『ゼロの未来』 街の色はバラ色でもお先は真っ暗?

 『未来世紀ブラジル』『12モンキーズ』のテリー・ギリアムの最新作。

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 「人生の意味」なんてことを考えるのはカッコいいことじゃない。今どき誰もそんなことをしないだろうと思う。ぼく自身は嫌いではないのだけれど、もちろん大っぴらにそんなことを宣言するわけではない。こっそりそんなことを考えたりもするけれども、大概は雑事に紛れて忘れてしまう。

 この作品の主人公コーエン(クリストフ・ヴァルツ)もそんなことに囚われた男だ。この映画で「ゼロの定理」と呼ばれているものが、「人生の意味」ということであり、そんなものに拘泥するとロクなことにならないようだ。

 『未来世紀ブラジル』は素晴らしいイメージに溢れた映画だったと思うが、『ゼロの未来』のほうはどうにも退屈だった。秋葉原あたりをモデルしたらしい街の造形はカラフルでもチープな印象だった。そんな街の片隅の教会にひきこもって「ゼロの定理」を解くコーエンが外界に興味を抱くきっかけが、ベインズリー(メラニー・ティエリー)という女だというのはありふれている。そのベインズリーとの交渉がボディ・スーツを着たヴァーチャルなものとなるのもどこかで観たような光景だし、全体的にあまりノレなかった。

 マット・デイモン演じる神みたいな存在は、この世界の混沌を単なる「商機」としか考えていない(ひとり息子を遣わしたりもするけれど)。その混沌のなかに意味を見出そうとするコーエンはまさに人生を無駄にしてしまったわけで、「人生の意味」を問うというスタート自体が間違っていたということなのだろう。何だか虚しい結末だけれど……。

 クリストフ・ヴァルツのハゲ頭の別世界の幻想という組み合わせは『ファウンテン 永遠につづく愛』を思い出した(関係はまったくないけれど)。

『農家の嫁 あなたに逢いたくて』 もんぺ姿はエロいか?

 『マリアの乳房』LAST LOVE/愛人』『妻が恋した夏』『愛の果実』などのラブストーリーズの1本。

 主演の水谷ケイは昔の深夜番組なんかでよく見た顔。さすがにやや歳をとった感はあるけれど、なぜか海外でも人気だというナイスバディは健在だと言える。バストがとてもきれいだった。

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 水商売で暮らしてきた由紀恵(水谷ケイ)は、東京にやってきた農家の男(浜田学)に見初められて農家の嫁に嫁ぐことになる。都会の夜の生活に慣れきった由紀恵が、農家の嫁になることは大変だ。それでも今まで家族の団欒というものを知らなかった由紀恵は、慣れない農作業も頑張り、嫁として認められるように努力するのだが……。

 

 題名からしてコメディっぽい感じ(そういう題名のアダルト・ビデオもあるらしい)。都会の水商売からもんぺ姿へという展開とか、恋愛とかの部分はかなりベタなもので、プロポーズの際の「おれが絶対守るから」とかどこかで聞いたような……。水谷ケイの濡れ場が妙に長くてたっぷりと見せてくれるのがかえって気になったが、役者陣に色々な顔が登場してくるのがおもしろかった。

 由紀恵の友人役で登場する西本はるか(元パイレーツ)はちょっとだけ濡れ場もある。主役ではないからここではきわどい部分は死守しているのだけれど、そっちのほうが見せ方としてはエロいような気もする。農家の親父役で登場する団時朗はどこかで見たような顔だと思ったら、「帰ってきたウルトラマン」だった人らしい。それから脇役だけれど吉野紗香も顔を出す。個人的には『愛の果実』でもいい味を出していた吉岡睦雄が、由紀恵の弱みを握ってその身体をほしいままにするというゲス役を演じていたのが楽しかった。

レア・セドゥの主演作 『グランド・セントラル』 先の見えない不安

 レア・セドゥの主演作。監督はレベッカ・ズロトヴスキという女性で、ふたりのコンビで『美しい棘』という作品もあるらしい(ちょっと観てみたい)。

 この『グランド・セントラル』は原発の作業員たちの話。日本でも“原発ジプシー”などと呼ばれ、全国の原発を回り点検作業を行う作業員はいるらしく、同名の本も出ている。この映画の舞台はフランスだが、フランスでも原発の作業員たちは底辺の生活なのがよくわかる(主人公のギャリーは無一文で原発にやってくる)。原発のシーンにリアリティがあるのかはよくわからないけれど、実際にあんな場所で命を削るようにして働く人がいることは確かなのだろう。

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 ギャリー(タハール・ラヒム)は原発で働くことになると、同僚トニの恋人キャロル(レア・セドゥ)のことを好きになってしまう。キャロルは打算があってギャリーに近づいたものの、次第にそれは本気のものになってしまう。キャロルと離れたくないギャリーは、放射線量の限度を超えて危険なのにも関わらず、周囲を騙してまでも原発での仕事を続けようとする。

 この作品製作のスタートは福島の事故の前からで、事故に誘発されたわけではないようだ。ただ作品中に「福島」という言葉も出てくるから、一部変更はされているのだろうと思う。だからもともとの出発は原発の危険を訴える作品というよりも、原発が何らかの危機とか不安を煽る象徴として導入されているのかもしれない。

 原発作業員のような底辺の生活はいつまで続けられるかわからない。事故で放射線を多く浴びれば、原発の仕事から締め出されるし、大事故ともなれば死ぬこともあり得る。そんな先の見えない生活の不安が「原発」という形で描かれているようにも思えた。レアが演じるキャロルは自分で作った粗末なウェディングドレスで結婚式を挙げるのだが、その表情には明るさはない。その先を暗澹たるものと感じているのかもしれない。

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 『グランド・セントラル』でのレアは、『アデル、ブルーは熱い色』みたいなレズビアン風な装い。というかカッコいいオナベみたいな雰囲気でもある。ボディースーツと呼ぶ水着みたいなものにショートパンツという格好は、同時期にDVDが登場した『美女と野獣』のドレスとは対照的だ。しかもこの映画ではその白い胸を何度も露わにさせているから、そんな意味でも楽しめる。

 同僚トニを演じたドゥニ・メノーシェはリノ・ヴァンチュラみたいな雰囲気でよかったし、『息子のまなざし』のオリヴィエ・グルメも顔を出しているのも嬉しい。

『美女と野獣』 レア・セドゥ版の出来は?

 『ジェヴォーダンの獣』『サイレントヒル』などのクリストフ・ガンズ監督の作品。

 主演にはレア・セドゥヴァンサン・カッセル

 昨年11月から劇場公開され、先月にDVDが登場した。

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 『美女と野獣』はディズニーのアニメが有名だが、ぼくは観ていない。ジャン・コクトーがつくった1946年のモノクロ作品は昔ビデオで観た。

 コクトーの『美女と野獣』はジャン・マレーの印象しかない(ジャン・マレーはいかにも二枚目だし、野獣の姿でも瞳がきれいだった)。コクトーとジャン・マレーは愛人関係だったともされているようだし、やはりジャン・マレー演じる野獣のほうにシンパシーを抱いていたのだろうか。

 一方で今回のクリストフ・ガンズ版『美女と野獣』はベル役のレア・セドゥの印象が強い。ヴァンサン・カッセルはさすがにジャン・マレーと比べると普通すぎると思う。レア・セドゥ演じるベルが野獣の城へ赴くとほとんど彼女のひとり舞台の様相もある。野獣はたまにしか姿を現さないし、ドレスを色々と着替えたりして、お嬢様タイプのレアを観たいという人ならば楽しめるかもしれない。ドレスから垣間見える白い胸元は強調されているけれど、残念ながら(?)裸はない。

 王子がなぜ野獣となったのかというエピソードや、なぜか巨人が登場したりするのはそれまでの『美女と野獣』にはなかったものらしい。ウィキペディアによると『美女と野獣』は異類婚姻譚というジャンルになるようだ。日本でも「鶴の恩返し」とかそういう話はあるけれど、西洋のそれと比べると日本の話は貧乏くさい感じがして、彼我の差を感じたりもする。

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