ちなみに新宿の某映画館で観たのだけれど、この映画館はかかる作品はいいのだけれど施設にはやや難がある。座席に段差がないために、前の人が座高が高いと――というよりも後の人のことなんて考えたこともないような輩だと――到底まともにスクリーンが見えないことになる。ぼくが観た日にもあきらめて席を立った人がいた(多分立ち見をしたのではないだろうか)。最近ネット予約が可能になったにも関わらず、なぜか一番後ろの席がその対象外のためぼくには意味がない(一番後ろが好きなので)。何とかならないのかなあと思う。
そんなわけで最初からあまり気分がよくなかったからなのかもしれないのだけれど、この台湾映画もいまひとつ楽しめなかった。ヤフーの映画コーナーでは結構いい評価だったのだけれど……。
いじめられっ子の黄立淮はある日瀕死の少女を発見する。ほとんど時を同じくして、ほかのふたりの少年もそれを発見する。血だらけで横たわる少女とそれを見つけた3人の少年という鮮烈なイメージ。少年たちは彼女がなぜ死んだのかを調べ始める。そんなわけで3人の少年探偵団の活躍が始まる。
といった感じの滑り出し。夏薇喬という少女はなぜ死ななければならなかったのか。3人はあるじを失った夏の部屋へ入り込み、彼女の死の真相を探るために奔走する。調べていくうちに夏は自殺したことがわかり、その裏には別の少女の姿が垣間見えることになる。3人はそうしているうちに仲の良い友達になっていき、黄立淮が発案者となって敵となる少女へ接近し、懲らしめようとするのだが……。
上下の写真のように皆が勢ぞろいする場面はないのだが、それぞれのキャラはよかったと思う。孤独で美しい夏薇喬、いじめられっ子だけれどかわいらしい黄立淮。悪っぽい奴と、のび太みたいな風貌の優等生、真面目で委員長タイプの女の子と、妹キャラの女の子。夏薇喬を演じたヤオ・アイニンが目立つけれど、ほかのキャラもいい。若いって素晴らしい! なぜだか台湾映画はそんな気持ちになるものが多いような気もする。
※ 以下、ネタバレもあり! 観てない人はご注意を!
しかし、この後は奇妙な展開をしていく。最初に示された謎はフェイクで、そこから先があるのだ。「少女の闇」という物語にしなかったのはよかったのかもしれないのだが、それにしても急な展開に戸惑った。
たとえば『明日、君がいない』という映画でも、最初に提示された謎はフェイクみたいなもので、最後にすべてひっくり返るわけだけれど、どうもこの手のやつは苦手だ。そんなことを言えば、あの『サイコ』だって主人公と思いこんでいた女が序盤に殺されてしまったりするわけで、そうした例がないこともないのだが、やはり破格の形だと思う。
明らかにされる真相についても、何だか妙に子供っぽいところがあって、若いときのそんな気持ちをどこかに忘れてきてしまった中年としては、ちょっと素直には受け取れなかった。それにしても偶然の割合が高すぎるような……。
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