サイの角のように 独りよがり映画論

映画について自分勝手な感想の備忘録。ネタバレもあり。 ほかのブログから引っ越してきました。

2015年09月

『逢いびき』 ベタなメロドラマだけれどつつましさがいい?

 『マリアの乳房』『妻が恋した夏』『愛の果実』などのラブストーリーズの1本。借りようかと思ってレンタル店で探すと結構借りられていたりして、今ごろになってしまったから意外に人気があるのかもしれない。何と言ってもこのシリーズはロマンポルノみたいにエロが込みとなっているわけで、やっぱりエロは根強い人気があるのだろう思う。この弱小ブログでもお客さんが多かったりするのは、このラブストーリーズのシリーズだったりもする。

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 主演の丸純子90年代にはテレビでレポーターなどをしていた人とのこと。お上品な印象で、あまり若くはないのだけれどとても可愛らしい印象。相手役の二枚目・赤木伸輔は、小嶺麗奈がキレイだった『水の中の八月』に出ていた人(そのときは青木伸輔)。

 物語としてはベタな昼メロといった感じ。互いに配偶者を持つ身でありながら、出遭ってしまったふたりが不倫の恋に走ってしまうのだが、なかなか一線を越えないのが慎ましい。世間では不倫なんてそれほど珍しくもなさそうだけれど、やはり後ろめたさがあるということなのだろうか。というよりもメロドラマとしては、そこでの葛藤こそがミソということのなのかもしれない。

 とはいえもちろんベッドシーンもある。色白の肌の豊かな胸は服の上からも窺えるのだけれど、ベッドシーンまでにはいくつもの躊躇を経なければ辿りつかない。いざというときになってからもさらに迷ってしまうところが奥ゆかしくていい? 抱き合いつつも醒めているなんて『男と女』あたりを思わせなくもない。

『私たちのハァハァ』 女子高生の青春に怖いものはない

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 『自分の事ばかりで情けなくなるよ』クリープハイプの尾崎世界観とコラボレートしていた松居大悟監督の最新作は、クリープハイプのファンの女の子たちが主人公。クリープハイプに「東京のライヴも」と誘われたから実際に行くことにしたという無鉄砲な4人組。女子高生たちが自転車で北九州から東京までを疾走するというロードムービーだ。

 松居大悟監督は『スイートプールサイド』以来気になっていて、『ワンダフルワールドエンド』もとてもよかったので、これまでの作品はすべて観てみた。ちょっと前に出た本『さあハイヒール折れろ』なんかも読んでみたのだが、どうやら松居監督の映画の主人公は監督本人によく似ている(原作が別にある場合もあるけれど)。

 上記の著作(ネットで連載していたもので、こちらでも読める)によれば、松居監督はまさに『アフロ田中』みたいな童貞キャラをネタにしていた模様。結局、その本の最後の対談では童貞は卒業してしまったことも明らかにされているのだが、だからなのかどうかわからないけれど『私たちのハァハァ』は意外にもまっとうな青春映画になっている。言い換えれば童貞のこじらせ感がなく、真っ直ぐな女子高生の青春物になっているのだ。

 主役の4人は皆それぞれにキャラが立っていてよかったと思う。上のスチールの向かって左から紹介すると、大関れいかは6秒動画とかで人気とかでこの映画でもカメラ慣れしている印象でおもしろい存在。井上苑子はちょっと不良っぽい外見だけれど、声がかわいらしい(実際にシンガーソングライターだとか)。真山朔は一番普通の女子高生らしくてとてもかわいい(ちょっと夏帆っぽく見える瞬間も)。三浦透子は唯一演技経験があるとのことで、クリープハイプにはまってちょっと狂気に陥る難しい役どころを演じている。最初は自分たちのカメラで旅を撮影しているという設定になっているからか、ごく自然な4人の旅の様子が捉えられていたと思う。

 『自分の事ばかりで情けなくなるよ』では第2話のクリープハイプのアンコールに間に合って涙するOLのエピソードが良かったのだが、『私たちのハァハァ』もそれに似た場面もある。ただ結末はちょっと違う。やはり青春ってそんなものだよねというところだろうか。

『EDEN/エデン』 幻の鳥の行方は?

 90年代から00年代にかけてのフランスのダンス・ミュージック・シーンが題材となっている。フランスの音楽が流行っていたことすら知らないし、クラブなんかにも出入りしないぼくにはまったくこの映画を語る資格がないのかもしれない。ただミア・ハンセン=ラブ監督の評判(未見だが前作『グッバイ・ファーストラブ』がとてもいいのだとか)を聞いて観に行った。

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 名前くらいは聞いたことがあるダフト・パンクが登場するものだから、チアーズというDJコンビも有名な存在なのかと思ってしまったのだが、そうでもないようだ(チアーズは実在したようだが、多分知る人ぞ知るというような存在なのだろうと思う)。そんなだから主人公のポール(フェリックス・ド・ジヴリ)が神様などと呼ぶ人物が登場しても、それが現実の大物のことを指していて歴史的な瞬間を示しているのか、単なる成功へのエピソードのひとつなのかがわからずにちょっと困った。

 そんな疎い人が見ると、この作品は意外と淡々と進行していくように見える(よく知っている人が見ると違うのかもしれないが)。ただつまらなくはない。もちろんそれは音楽的な良さもあるのかもしれないけれど、第2部に入ってからのほろ苦い感じがとてもよかったのだ。

 ダフト・パンクが数少ない成功者だとしても、ほかには星の数ほど挫折していく人たちがいるわけで、チアーズもそこそこ成功はするもののダフト・パンクにはなれない数多くのほうになることになる。そのなかには夢破れてというかほとんど自滅していくように自殺してしまう人がいたりもするし、ポール自身も借金とドラッグでにっちもさっちもいかない状態になる。

 数多い恋人たちが登場するが、そのなかでも一番重要なルイーズも主人公を捨てて日常生活へと戻っていくわけだが、ポールはいつまでもモラトリアムを抜け出せないあたりが身に染みる。冒頭でアニメで描かれるカラフルな鳥が登場するのだが、それは二度と姿を現さない。ポールが追っていたのはそんな幻の鳥の姿ということだろうか? DJの夢をあきらめた後でダフト・パンクの曲(Within)がかかるシーンがとても印象に残る。

 

 ポールの恋人役には『フランシス・ハ』グレタ・ガーウィグとか、名前もない小さな役柄でもかわいらしいフランス娘たちが登場する。それでもやはりルイーズを演じたポーリーヌ・エチエンヌが一番好み。20年に渡る物語の最初から最後まで登場していろんな姿を見せてくれる。



『黒衣の刺客』 武侠物といっても変わらぬホウ・シャオシェン

 ホウ・シャオシェン監督の最新作。

 カンヌ映画祭では監督賞を受賞した。

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 ホウ・シャオシェン作品なのになぜか武侠物ということで劇場まで足を運んだものの、やはりテイストは変わらなかった。というよりも本当に武侠物なのかというくらいアクションシーンは少ないし、特段にそれがすごいわけでも緊張感があるわけでもない(と思えた)。

 フィルムで撮影したという映像はたしかに美しいのだが、室内のシーンなどで登場人物が訥々と語るのを、カメラがゆっくりとしたスピードでパンしながら右に左にと追っていくスタイルが出てくると、あまりにゆったりしてうっとりしてうとうとしかけてしまう。

 昔の作品、たとえば『悲情城市』とか『恋々風塵』とかはとても好きだったのだけれど、どうも『憂鬱な楽園』『フラワーズ・オブ・シャンハイ』からはちょっとついていけない感じになってきて、それは今回も変わらなかった。

 今回も主演はスー・チーで、その相手役はチャン・チェンということで、ふたりが共演した『百年恋歌』のように恋愛の話のようにも感じられる。スー・チー演じる主人公・聶隠娘は暗殺者で田季安(チャン・チェン)を殺すように命じられるのだが、実はふたりはかつての許婚だった。そんなわけで殺しに行くもののそれを果たすことはできないといった場面が何度も繰り返される。それにしても武侠物ならばやはりキン・フーみたいなものを観たかったなあと思ってしまう。ホウ・シャオシェンとは毛色が違うかもしれないけれど。

 日本からは妻夫木聡忽那汐里が登場している。あまり出演シーンは多くないけれど、忽那汐里の雅楽(?)みたいな衣装は素敵だった。


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