杉野希妃がプロデュースと監督・主演も兼ねた作品。

 たまたま初日に見に行ったら舞台挨拶で監督と出演陣が登壇した。和服姿で登場した監督・主演の杉野希妃さんはとても見目麗しかった。相手役の青木崇高さんはワイルドで、娘役の山口まゆさんはちょっと天然っぽいところがかわいらしかった。杉野希妃さんはこの作品の製作前に大きな事故に遭われたそうで、それを乗り越えて作ったこの作品は思い入れがあるとのこと。

雪女

 物語は誰でも知っている「雪女」。一応原作となっているのは小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)の『怪談』のなかの一編。もとは怪談話だけれど、この作品は観客を怖がらせるようなものはなく、雪女と人間の男とのラブストーリーとも言える。

 猟師の巳之吉(青木崇高)は仲間の茂作(佐野史郎)と山に入るものの、吹雪に遭って遭難する。何とか山小屋で一晩を明かすことになるのだが、気がつくと茂作は雪女(杉野希妃)に命を奪われている。雪女は巳之吉に、「この事を誰かに言ったらお前の命も奪う」と言って姿を消す。その後しばらくして巳之吉が山のなかで会ったユキ(杉野希妃の二役)はどこか雪女に似ているものの、巳之吉はユキを連れ帰り結婚することになる。

 

 原作はとても短いものなので、映画版では色々と付け加えられている部分もある。雪女が山の化身のような存在となっている部分もそうだし、舞台が現代に近い時代で巳之吉の村では工場でちょうちんなどを製造したりもしている。昔ながらの山の生活と工場の示すような現代的な生活が対比されているのかもしれない(ふたつの世界の間には三途の川を渡るような場面もある)。山のなかで電球が光輝くシーンなどは一体何なのかはあやしいのだけれど、山からやってきた雪女がそれを見て何を思ったのだろうか。

 そんな意味ではあまり説明的な作品ではなく、シーンとシーンのつながりがちょっとわかりづらく感じる部分もある。ユキの出産シーンがあったあとに子供は登場せず、しばらくあとになって娘が生まれたシーンが出てくる(ぼくは二人目なのかと勘違いした)。このサイトの監督のインタビューによれば、ユキは一度流産しているという設定なのだとか。そんな素振りがあったのかは思い出せないけれど……。

 ユキのラブシーンはとても熱の入ったもので、特に温泉での絡みでは監督自身が身体を張っていてとてもエロかったと思う。印象に残ったのは闇のなかに浮かぶちょうちんの色合いだろうか。さらに付け加えると娘(山口まゆ)のちょうちんブルマー姿。今ではなかなかあんなちょうちんブルマーは見られないわけで、とても貴重なシーンと言えるかもしれない。元気にオリジナルな踊りを舞う姿も心地よかった。

雪女2