原作は芥川賞作家・中村則文の同名小説。

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 フリーライターの耶雲恭介(岩田剛典)はある出版社に仕事をもちかける。ベテランの編集者小林良樹(北村一輝)がその担当となり、ある事件についての取材を始める。その事件ではカメラマン木原坂雄大(斎藤工)という男が、モデルの女性を焼死させたというものだった。

 木原坂に近づいた耶雲は、うまく彼に取り入って取材に協力してもらうことの了解を得る。しかし木原坂に近づきすぎた耶雲は、結婚間近の婚約者を木原坂に奪われてしまうことになる。そうこうしているうちにその婚約者も最初の事件と同様に焼死してしまうことになり……。

 

 以下は原作を読んでいない者の感想となる。というのはこの原作は叙述トリックを使った作品らしく、原作を読了している観客ならば、映画化不可能などと言われた作品をどのように料理しているかという点で楽しめる部分はあるのかもしれないのだが、すんなり映画から入った者にとっては、「なるほど」とは思ってもそれほどおもしろくもないというところだった。

 叙述トリックとは文章だからこそ成り立つトリックであり、登場人物が映画のように目の前に見えてしまっている状況では成り立たない。だからこの作品ではフリーライターの耶雲が「ミイラ取りがミイラになる」がごとく罠にはまる部分から始まり、そのあとで隠されている過去の話が明らかにされるという構成となっている(映画はプロローグの次に第二章となる)。

 王子様キャラの岩田剛典が、頭のおかしい危険人物斎藤工に騙されたのかと思っていると実は……。そんな話で、岩田剛典のファンなら楽しめるのかもしれないのだが、予告編にあるような誰もが騙されるといった映画ではない気はする。