『マリアの乳房』LAST LOVE/愛人』『妻が恋した夏』と続く、ラブストーリーズの1本。

 主演は嘉門洋子。監督は金田敬。

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 トルストイは『アンナ・カレーニナ』の冒頭で「幸せな家族はどれもみな同じようにみえるが、不幸な家族にはそれぞれの不幸の形がある」と書いているが、この映画の主人公・真理子(嘉門洋子)はその前半部分がどうもそれが気に入らないらしく、普通と同じではない幸せ、結婚以外の幸せもあるはずと考えている。

 真理子は現実にはそれなりの幸せな結婚をしていて、高校時代には人気者だった孝治(吉岡睦雄)と寂れたクリーニング屋を営んでいる。しかし店は借金も抱えていて、そんなときに同級生・安西(河合龍之介)の成功を知って、孝治と共に助けを乞いに行ったのは、真理子が安西と秘かに仲が良かったから。真理子はそんな関係に結婚以外の幸せを探していたということだろう。安西は借金の申し込みに、条件を出す。それは真理子が安西と3カ月間を共に過ごすということだった。

 

 場末のクリーニング屋の女将からIT長者の愛人になった真理子だが、安西と真理子の関係は高校時代の不思議な関係をなぞるようなもの。安西と真理子は高校時代に自殺未遂同士の仲間だったのだ。

 孝治と真理子の関係はありがちな幸せだ。孝治はカブト虫に投資したりして多分失敗するようなダメ男だけれど、それなりに楽しい生活を築いている(カブト虫が妙に生き生きしているのがいい)。一方で大金持ちの安西との関係は未だに過去を引きずっているようで、大の大人が妙に高校生のようにはしゃぐ場面は気恥ずかしくて醒めるかも。

 そんなだからありがちで平凡な幸せに戻るという結末も尤もだという気がした。そんな意味では、幸せな家族が似てくると言ったトルストイはやはり正しかったということなんだろう。

 

 主役の嘉門洋子の脱ぎっぷりはなかなか潔い。孝治役の吉岡睦雄のダメ男ぶりもはまっていたと思う。安西を演じた二枚目の河合龍之介は『妻が恋した夏』でも自殺しかけていたような……。脇役だけれど安西の秘書役でサヘル・ローズが登場していて、パンツスーツ姿が素敵だった。ちょっとだけ水着になるシーンもあって拾い物か?