ホウ・シャオシェン監督の最新作。
カンヌ映画祭では監督賞を受賞した。
ホウ・シャオシェン作品なのになぜか武侠物ということで劇場まで足を運んだものの、やはりテイストは変わらなかった。というよりも本当に武侠物なのかというくらいアクションシーンは少ないし、特段にそれがすごいわけでも緊張感があるわけでもない(と思えた)。
フィルムで撮影したという映像はたしかに美しいのだが、室内のシーンなどで登場人物が訥々と語るのを、カメラがゆっくりとしたスピードでパンしながら右に左にと追っていくスタイルが出てくると、あまりにゆったりしてうっとりしてうとうとしかけてしまう。
昔の作品、たとえば『悲情城市』とか『恋々風塵』とかはとても好きだったのだけれど、どうも『憂鬱な楽園』『フラワーズ・オブ・シャンハイ』からはちょっとついていけない感じになってきて、それは今回も変わらなかった。
今回も主演はスー・チーで、その相手役はチャン・チェンということで、ふたりが共演した『百年恋歌』のように恋愛の話のようにも感じられる。スー・チー演じる主人公・聶隠娘は暗殺者で田季安(チャン・チェン)を殺すように命じられるのだが、実はふたりはかつての許婚だった。そんなわけで殺しに行くもののそれを果たすことはできないといった場面が何度も繰り返される。それにしても武侠物ならばやはりキン・フーみたいなものを観たかったなあと思ってしまう。ホウ・シャオシェンとは毛色が違うかもしれないけれど。
日本からは妻夫木聡と忽那汐里が登場している。あまり出演シーンは多くないけれど、忽那汐里の雅楽(?)みたいな衣装は素敵だった。
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