演劇界出身の福原充則の初監督作品。

 郊外の住宅地でカレー屋を始めることになった夫婦。開店を明日に控え準備に励むふたりだったのだが……。カレー屋に登場する人物たちはみんなクセのあるキャラばかり。妻のあさこ(黒川芽以)と一緒に過ごす時間を増やすために脱サラした夫(野間口徹)とその後輩(チャンカワイ)が開店準備をしていると、次々とそれを邪魔するような珍客がやってくる。バイトの面接に訪れた男(コンビキングオブコメディの今野浩喜)は合格もしてないのに態度がデカいし、近所迷惑なあさこのストーカー(栩原楽人)も現れ、最後にはヤクザ(永島敏行)が血だらけになって登場し、カレー屋の開店もどんどんあやしい雲行きになっていく。

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 舞台劇からの映画化ということで前半はカレー屋内での軽妙なやりとり。キャラはどれもかなりウザい。あさこがその中心となるわけだけれど、やさしく貞淑な妻の雰囲気で登場したあさこは実はヤリ○ンだとわかってくる。あちこちで本気になって旦那以外の人を愛してしまうらしい。「愛」というのも単なる博愛などではなく、しっかりセックスしているらしい。浮気ではなく本気だというのがかえってタチが悪いところだけれど、本人はそれに気づかないのかもしれない。

 あさこからすれば愛は増えるのかもしれず、夫婦ふたりだけが幸せになってそのほかの人がどうでもいいというのは間違っているということになるらしい。最後はキス魔の痴女になって街を走り去っていく黒川芽以が見どころ。それから妙なしゃべり方をする永島敏行もおもしろい存在だった。

 ただ、わざわざ演劇を映画化したにしてはあまり映画らしいところはなかったかもしれない。たしかにキャラの顔で笑わせるところはあるのだけれど、世界が変わるという表現も単に光るだけという安易な効果だったし……。とりあえずバカバカしくて楽しい映画ではあるけれど、世界を変えるほどの愛の映画ではないようだ。