ジョニー・デップの最新作。いつもみたいな派手なキャラではないわけだけれど、ハゲづらというコスプレを楽しんでいるようなところもあり。本当のジョニー・デップの姿はどんなものだったのかもはやわからなくなってくる。

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 実在のジェームズ・ホワイティ・バルジャーというアイリッシュ・マフィアの一代記。

 施設で育った子供たちが長じてマフィアになり、FBIになり、政治家になる。彼らにとっては仕事よりも幼いころからの仲間への忠誠心のほうが大きい。FBIとなったコノリー(ジョエル・エドガートン)は地域にのさばるイタリアン・マフィアを潰すために、ジミー・バルジャー(ジョニー・デップ)を情報屋として利用することを提案する。そしてその代わりにジミーはFBIからお墨付きを与えられどんどん調子に乗っていく。

 なぜこの人物が映画の題材になったのかがよくわからない。あまり魅力的な人物ではないからだ。最後にジミーに対しての人物評として挙げられるのは「根っからの殺人者」というもので(「単なるの殺人者」だったかも)、かといって震えがくるほど恐ろしいキャラでもない。裏切り者は許さねえと言いつつ、自分はFBIとつるんでいることからもわかるように支離滅裂なのだ。子供には「暴力を振るうなら誰も見ていないところで」、と言いふくめていたのにジミーはどんどん大胆になり、白昼堂々と殺人を犯すようにもなる。

 いろんな顔を揃えてみましたという感じのところはおもしろかったが、それだけだったようにも思えた。ジミーの弟役のベネディクト・カンバーバッチは政治家役だけに出番は少ない。マフィアが政治家と仲がいいなんてことはさすがに描きづらいのか。とりあえずは事実をもとにしているとのことで、ドラマティックなものが感じられなかった。