ロッテン・トマトで97%という満足度をたたき出した作品。

 監督はこの作品がデビュー作となるヤン・ドマンジュ

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 1971年のベルファスト。アイルランドのプロテスタントとカトリックの対立はこれまでも色々な映画が取り上げてきた題材だが、この作品はそんな戦場の場所に取り残されてしまったイギリス軍の一兵士のサバイバル・ドラマとなっている。99分があっという間という感じだった。

 住民を安心させるという名目でヘルメットや盾もなしでベルファストの中心地に降り立つイギリス軍。占領されたと感じている住民たちは彼らに非難の声を浴びせる。そうこうしているうちに暴動へと発展し、ゲイリー(ジャック・オコンネル)は住民のなかに取り残され同僚の兵士は住民のひとりに銃殺される。

 スピーディーな追いかけっこから始まって、暴動が起きた夜をこっそり逃げ回るサスペンス、IRA内部の抗争なんかにも巻き込まれて両方から命を狙われる始末でとにかくハラハラとさせる映画だった。

 イギリス軍の上層部は平服でスパイみたいなことをしていて、IRA穏健派とつながって様々な策を練っている。IRAの過激な活動をしている暫定派のひとりを逃がしていることからもイギリスが裏で紛争を操っているらしいことも見て取れる。大国のやりたい放題は恐ろしいものがある。

 同じ時期にDVDがリリースされた『ゴッド・ヘルプ・ザ・ガール』でも、この作品と同じように「デヴィッド・ボウイは女の子向け」という台詞があるのがおもしろい。向こうのイメージでは女の子向けという印象なんだろうか。