日本映画のあちこちに顔を出している渋川清彦が主演の作品。渋川清彦は最近では『アレノ』だとか『ソレダケ/that's itなんかでも印象に残っている。

  監督は『グレイトフルデッド』などの内田英治

 下衆の愛

  下衆な人は少なからずいるわけだけれど、この作品は映画業界における下衆な面々が登場人物となっていて、渋川清彦が演じるインディペンデントの映画監督テツオは40歳を目前にしつつも、未だニートのような状態で何とか映画を撮ろうとしている。それでもテツオはジョン・カサベテスのことを敬愛しているのだから志は高いのだろうと推測される。

  映画に対する愛はいいのだけれど、監督という権力を振りかざして新人女優に手を出そうとしたりもするし、女優も女優で「無駄に寝たりはしない」と枕営業をかける相手はきっちり品定めしてから臨んだりと、映画業界の下衆な面々のそれなりに愉快で悲しくもある日々を綴っていく。

  実際の映画業界がどんなものなのかは知らないけれど、この作品の登場人物はなかなか多彩な顔ぶれでそれだけで楽しい。映画業界の監督もプロデューサーも「うざくて嫌い」などとうぶなことを語っていたはずがいつの間にかに大物女優に化けることになるミナミ(岡野真也)とか、監督のテツオにいつも付き従っているのはテツオの作品が好きだからなのかと思っていると実は○○というマモル(細田善彦)とか、みんなキャラがおもしろかった。

  ちなみに公式ホームページのCAST欄はなかなか凝っていて、『パルプ・フィクション』とか『欲望』とか有名な作品をパロディにしてキャスト陣を紹介している。個人的には破天荒な映画監督というものに憧れてテツオに尽くすことになる女(山崎祥江)がかわいらしくて好み。