ウィッチ

 『スプリット』の主役として名を馳せたアニヤ・テイラー=ジョイ主演のホラー映画。

 17世紀のアメリカを舞台にした話。イギリスから渡ってきた清教徒たちは信仰に対する敬虔さにおいて旧教の比ではなかったのか、とにかく神の国に入らんとする熱意がすごい。常に神に祈りを捧げるようなつつましい生活を続けているからこそ、それにも関わらず理不尽な出来事が起きたりすると、誰か不届き者がいるから神が罰を与えたのだということになる。それがエスカレートしてくると誰かを魔女に仕立て上げるということになるらしい。

 『ウィッチ』では共同体から排除された家族が荒地で生活していると、森に住む魔女の仕業なのか赤ん坊のサムが消えてしまったりする。そんなことが続くうちに長女のトマシンはほかの家族から魔女として疑いをかけられることになる。

 森のただならぬ不穏さが印象的で、薄暗い場面が続く。魔女の姿はあまり出てくることはないのだけれど、映画全体の雰囲気がそれを補って余りある。バケモノが追いかけてきたりすることもないかわりじわじわと怖さが支配してくるところが素晴らしかった。

 アニヤ・テイラー=ジョイは『スプリット』のときは目が離れているとか言われてもいたけれど、それより前のこの作品ではそんな感じもなくまだ大人になりきらない感じの危うさがとてもよかった。うまく説明はできないけれど独特な魅力がある。

 ただ、惜しいのはこれを上映している映画館があまりいい環境ではないということだろうか。もともと前の人の頭でスクリーンが欠けてしまうというストレスから逃れられない小屋なのだけれど(この日もかなり邪魔だった)、改装したあとに『ジムノペディに乱れる』か何かを一番後ろの席で見ていると、今度は上部に設置されたスピーカーでスクリーンが欠けてしまうというあり得ない事態まで起きていて、かなりガックリとした次第。改装するときにそのくらいの確認はしないものだろうか。単館としてほかでは観られない作品をやっているだけに何とも惜しい気持ちになる。