サイの角のように 独りよがり映画論

映画について自分勝手な感想の備忘録。ネタバレもあり。 ほかのブログから引っ越してきました。

映画

『下衆の愛』 映画というクソみたいな女にはまる

 日本映画のあちこちに顔を出している渋川清彦が主演の作品。渋川清彦は最近では『アレノ』だとか『ソレダケ/that's itなんかでも印象に残っている。

  監督は『グレイトフルデッド』などの内田英治

 下衆の愛

  下衆な人は少なからずいるわけだけれど、この作品は映画業界における下衆な面々が登場人物となっていて、渋川清彦が演じるインディペンデントの映画監督テツオは40歳を目前にしつつも、未だニートのような状態で何とか映画を撮ろうとしている。テツオはジョン・カサベテスのことを敬愛しているのだから志は高いのだろうと推測される。

  映画に対する愛はいいのだけれど、監督という権力を振りかざして新人女優に手を出そうとしたりもするし、女優も女優で「無駄に寝たりはしない」と枕営業をかける相手はきっちり品定めしてから臨んだりと、映画業界の下衆な面々のそれなりに愉快で悲しくもある日々を綴っていく。

  実際の映画業界がどんなものなのかは知らないけれど、この作品の登場人物はなかなか多彩な顔ぶれでそれだけで楽しい。映画業界の監督もプロデューサーも「うざくて嫌い」などとうぶなことを語っていたはずがいつの間にかに大物女優に化けることになるミナミ(岡野真也)とか、監督のテツオにいつも付き従っているのはテツオの作品が好きだからなのかと思っていると実は○○というマモル(細田善彦)とか、みんなキャラがおもしろかった。

  ちなみに公式ホームページのCAST欄はなかなか凝っていて、『パルプ・フィクション』とか『欲望』とか有名な作品をパロディにしてキャスト陣を紹介している。個人的には破天荒な映画監督というものに憧れてテツオに尽くすことになる女(山崎祥江)がかわいらしくて好み。

『PARKSパークス』 橋本愛による吉祥寺十題噺

 監督は『嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん』などの瀬田なつき

 吉祥寺の井の頭恩賜公園の100周年を記念してつくられた作品ということ。製作にはちょっと前に閉館したバウスシアター関係の人とかも関わっているとかで、とにかく吉祥寺を知っている人には楽しめる作品かもしれない。

パークス

 井の頭恩賜公園の桜の風景から始まるこの作品は、とにかく吉祥寺の魅力満載で、落語の三題噺ではないけれど、吉祥寺十題噺といった趣き(オチはないけれど)。吉祥寺と言えば、まずは井の頭公園であり、いせやの焼き鳥であり、サンロード、井の頭線、成蹊大学、ハーモニカ横丁、それからバウスシアター……。そういった馴染みの場所を舞台に青春模様が描かれる。

 冒頭の場面からとてもさわやかで観ていて心地いい。井の頭公園の桜は有名だけれど、花見の時期は混雑でひどい有様なのだけれど、この作品内ではとてもキレイに描かれているし、ドローンを使って上空から撮影したと思われるシーンなどもあって、いつもとはちょっと違う公園の風景を見せてくれる。公園の木々の緑もとてもあざやかな印象で、井の頭公園や吉祥寺のイメージアップには一役買うんじゃないかと思う。

 一方の物語はいまひとつパッとしないような感じで、橋本愛永野芽郁染谷将太の3人組が吉祥寺をあちこち走り回って音楽活動などをしてみるものの、若者らしい無目的な行動を表現しているのかもしれないけれど、物語もどこにたどり着くこともなく終わったような印象でもあった。

 お目当ての橋本愛はいつも通り素敵だったし、妹キャラ的な永野芽郁も表情豊かで可愛らしい。永野芽郁は最近CMなんかでも見かけるけれど、この映画のほうがとてもいい。それから染谷将太はTOKYO TRIBEでもやっていたラップでテンション高いところを見せている。まあ、橋本愛のファンには色々と楽しめる作品となっているとは思うのだけれど、それ以上のものとはちょっと言い難いか……。

『雪女』 見どころは雪女の熱いラブシーン?

 杉野希妃がプロデュースと監督・主演も兼ねた作品。

 たまたま初日に見に行ったら舞台挨拶で監督と出演陣が登壇した。和服姿で登場した監督・主演の杉野希妃さんはとても見目麗しかった。相手役の青木崇高さんはワイルドで、娘役の山口まゆさんはちょっと天然っぽいところがかわいらしかった。杉野希妃さんはこの作品の製作前に大きな事故に遭われたそうで、それを乗り越えて作ったこの作品は思い入れがあるとのこと。

雪女

 物語は誰でも知っている「雪女」。一応原作となっているのは小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)の『怪談』のなかの一編。もとは怪談話だけれど、この作品は観客を怖がらせるようなものはなく、雪女と人間の男とのラブストーリーとも言える。

 猟師の巳之吉(青木崇高)は仲間の茂作(佐野史郎)と山に入るものの、吹雪に遭って遭難する。何とか山小屋で一晩を明かすことになるのだが、気がつくと茂作は雪女(杉野希妃)に命を奪われている。雪女は巳之吉に、「この事を誰かに言ったらお前の命も奪う」と言って姿を消す。その後しばらくして巳之吉が山のなかで会ったユキ(杉野希妃の二役)はどこか雪女に似ているものの、巳之吉はユキを連れ帰り結婚することになる。

 

 原作はとても短いものなので、映画版では色々と付け加えられている部分もある。雪女が山の化身のような存在となっている部分もそうだし、舞台が現代に近い時代で巳之吉の村では工場でちょうちんなどを製造したりもしている。昔ながらの山の生活と工場の示すような現代的な生活が対比されているのかもしれない(ふたつの世界の間には三途の川を渡るような場面もある)。山のなかで電球が光輝くシーンなどは一体何なのかはあやしいのだけれど、山からやってきた雪女がそれを見て何を思ったのだろうか。

 そんな意味ではあまり説明的な作品ではなく、シーンとシーンのつながりがちょっとわかりづらく感じる部分もある。ユキの出産シーンがあったあとに子供は登場せず、しばらくあとになって娘が生まれたシーンが出てくる(ぼくは二人目なのかと勘違いした)。このサイトの監督のインタビューによれば、ユキは一度流産しているという設定なのだとか。そんな素振りがあったのかは思い出せないけれど……。

 ユキのラブシーンはとても熱の入ったもので、特に温泉での絡みでは監督自身が身体を張っていてとてもエロかったと思う。印象に残ったのは闇のなかに浮かぶちょうちんの色合いだろうか。さらに付け加えると娘(山口まゆ)のちょうちんブルマー姿。今ではなかなかあんなちょうちんブルマーは見られないわけで、とても貴重なシーンと言えるかもしれない。元気にオリジナルな踊りを舞う姿も心地よかった。

雪女2

『オトナの恋愛事情』 どちらが気楽にセックスできるか

 「ラブストーリーズ」のシリーズ第2弾のなかの1本。

 主演は丸純子

 監督は『メイクルーム』の森川圭

オトナの恋愛事情

 丸純子の今回の役柄はそれなりのキャリアウーマンだけれど、実は「白馬の王子様との恋愛」を夢見ているというちょっとイタい女性。男優陣には女性向けAVに出演しているという駿介(有馬芳彦)というカワイイ男の子と、プレイボーイ気取りの50代男性(冨家規政)。

 丸純子演じる山岸詩織は、売れ残ったアラフォーの生態よろしくマンションを購入して老後に備えている。それを当てにした姪っ子冴子(間宮夕貴)が居候して、たまに男を部屋に連れ込んだりもしている。詩織自身は男もおらずひとり寂しく女性向けAVなんかを見て、男優の駿介に恋をしたりしている。そんな詩織が急にふたりの男性との間で揺れ動くことになる。

 もちろん最初は王子様の駿介とのセックスを夢見ているわけだけれど、女優さんをいつも相手に仕事でセックスをしている駿介はおばさん相手に失望するかもしれないと詩織は踏み切れない。一方の加齢臭も気になる50代男性は気張っていたけれど、病気もあったりして自信喪失中。どちらが気楽にセックスできるかと言えば50代の男の方というのも頷ける。

 結局、詩織はどちらともベッドインしてしまう。ベッドシーンはとても対照的に描かれていて、詩織はロマンチックではないけれど賑やかで楽しいセックスの方を選ぶことになる。夢見がちだった詩織も多少はオトナの女性になったということかもしれない。

 コメディタッチの作品で丸純子のコメディエンヌとしての魅力が活きているとても楽しい映画だったと思う。もちろん脱ぎっぷりもよかった。それから相手役の男性陣も好対照で気が利いていたし、姪っ子役の間宮夕貴『甘い鞭』ではまだ子供っぽい印象だった)は若いのに妙に貫禄があってよかった。

『母の恋人』 懐かしの顔だけれどちょっと気恥ずかしい

 ラブストーリーのシリーズ第2弾のなかの1本。

 主演の水島裕子は昔テレビで見たことのある顔。現在は50歳を超えているというからちょっとビックリ。

母の恋人

 居酒屋を営む小池涼子(水島裕子)は娘の美奈(佐々木心音)とのふたり暮らし。年頃の娘のことが心配でならない母・涼子は、美奈の留学希望を受け入れることができない。そんなとき美奈のボーイフレンドである北川幸太(菅原昌規)が涼子の居酒屋でバイトをすることになり……。

 幸太は最初は美奈と付き合っているわけだけれど、バイトしているうちに母親の涼子のことが好きになってしまうという展開。どちらにもベッドシーンが用意されているのだけれど、佐々木心音はなぜか必死になって胸を隠している。というのも後半で母親役の水島裕子のベッドシーンがあるからだろう。その前に『マリアの乳房』ではふんだんに披露している若い胸を見せないようにするという配慮が働いているらしい。といっても佐々木心音のおしりはとてもエロい。

 水島裕子の演技は正直とてもヘタなのだけれど、ベッドシーンは手馴れたもの。日本では熟年女性のラブシーンというのはあまり普段は見ないので、かえって新鮮なのかもしれない。熟女好きにはたまらないのかもしれないのだけれど、母親の裸を見るようで妙に気恥ずかしい感じもある。

 陽の光のもとで行われる水島裕子とのラブシーンでは、幸太を演じる男優のパンツがかなりモッコリとしているのが妙に気になる。やっぱり本気になってしまう瞬間があったのだろうか。


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