ウェス・アンダーソンの『ライフ・アクアティック』『ファンタスティックMr.FOX』などの脚本を担当していたというノア・バームバック監督の作品。アメリカでは限定的な公開だったものが、口コミで広がり最終的には大ヒットとなったとか。
日本では昨年9月に劇場公開され、今月2日からDVDがリリースされた。
チラシなんかを見ているととてもオシャレな作品という印象だったのだが、ニューヨークに暮らす「非モテ」系な女の子のお話だった。主人公のフランシス(グレタ・ガーウィグ)は女の子と言ってももう27歳で、しかも老け顔で大柄だからかわいらしいという感じもあまりしない。共同生活をしているソフィー(ミッキー・サムナー)とは「年増のレズビアンみたい」と言い合うような関係だし、深夜の地下鉄構内でオシッコしたりもするような女。
それでもあまり下品な印象にはならないのが不思議でもある。監督のノア・バームバックと、主役で脚本にも参加したグレタ・ガーウィグは、実際のパートナー同士ということで、フランシスという微妙なキャラクターをギリギリのところで愛しいキャラにしているのかもしれない。
とにかくテンポがいい。エピソードを深く掘り下げるのではなく、次々に進んでいく。どこかで聞いたことのあるような音楽が流れるのは、フランソワ・トリュフォーの映画から音楽を拝借しているからとのこと。
そのほかにもデヴィッド・ボウイの「Modern Love」に合わせて街を疾走する場面はカラックスの『汚れた血』を思わせたり、男二人と女一人の共同生活するあたりはゴダールの『はなればなれに』なんかを思わせたりもする。色々とやりすぎているくらいパクっているらしく、詳しい人が観ると鼻につくところもあるようだけれど、個人的にはノリがよくて楽しかった。90分以内というのもいい。深く考えさせる映画ばかりではかえって辟易だし、こんな軽いのもいい。