ジャッキー・チェンの前作『ライジング・ドラゴン』は、「最後のアクション超大作」と宣言しているわけだけれど、最新作は『ポリス・ストーリー/レジェンド』である。
ジャッキーが短髪なのは珍しい。あの長髪はアクションが映えるようにという意図があるそうだが、その意味でもアクション映画を狙っているのではないのだろう。今回は物語のおもしろさで引き込まれる内容になっていると思う(あまりジャッキー映画でそんなことを感じたことはなかったのだけれど)。
それでも金網デスマッチなどのアクションシーンもある。こういったアクションは、どうやら監督のリクエストらしく、ジャッキー本人も「だまされた」とか言っているらしいが、まあジャッキーの映画ならアクションを期待するのは仕方ないのかもしれない。ちなみにこの作品は、あの『ポリス・ストーリー/香港国際警察』シリーズとは関係ないとのこと。
いつものジャッキー映画の雰囲気とは最初から違う。ジャッキー演じる刑事は、事件の捜査に向かうのではなく、娘(リウ・イエ)とクラブで待ち合わせをする。そこではパーティーが開かれていて、様々な客が招かれている。娘はある男をジャッキーに会わせるのだが、その男たちにジャッキーを含めた客は監禁されることになる。
拘束から何とか逃げ出したジャッキーが建物内を動き回りながら、娘を救い出そうと奮闘するあたりは『ダイ・ハード』のよう。実は犯人は妹をある事件で亡くしていて、その現場にいた当事者たちをその場所に呼び込んで、復讐を遂げようと考えていたのだ。過去の事件が、当事者たちの証言で見方が変わっていくあたりは『羅生門』的な味わいに。ラストではジャッキーが自らに銃を向けるシーンもあり、アクションは控えめでも、ハラハラさせる映画として楽しめた。
意外にもシリアスなドラマだったのだけれど、ラストではいつものNGシーンが登場するあたりはジャッキー映画を踏襲していて笑わせてくれる。
やっぱりジャッキー・チェンの存在は特別だ。まだまだ伝説なんかにならないで楽しませてほしいところだ。たまたま見つけたこのブログでは、ジャッキー映画が世界の映画関係者に与えた影響をまとめていて、とてもおもしろかった。『ポリス・ストーリー/香港国際警察』のワンシーンをスタローンがパクっていたなんて知らなかった。