行定勲監督の最新作。主演には三浦春馬と、中国のリウ・シーシー。
時計修理工の良(三浦春馬)は中国・上海で働いている。たまたま出会ったルオラン(リウ・シーシー)という美女に心惹かれるようになるのだが、彼女には双子の妹ルーメイ(リウ・シーシーの二役)がいた。ルーメイは映画プロデューサーの婚約者ティエルン(ジョセフ・チャン)がいた。
『スイートプールサイド』『百瀬、こっちを向いて。』に続いて、たまたま四角関係の映画ということになるわけだけれど、『真夜中の五分前』の場合、女が双子というのが特殊で、しかも途中でその片割れが亡くなってしまう。もともとほとんど見分けが付かなかったふたりだけに、生き残ったのはどちらなのかというところが後半の焦点となる。美男美女によるラブ・ストーリーなのだけれど、どうにもノレなかった。
ルオランとルーメイは双子で見た目に変わりはないのだけれど、性格には違いがある。良が最初に出会ったルオランは、どちらかと言えば大人しく、ルーメイは自由奔放に見える。そしていたずら好きのルーメイにルオランは自分の人生を奪われたと感じている。婚約者のティエルンと出会ったのもルオランが先だったし、役者をやろうと考えたのもルオランが先だった。ルーメイは後から来てルオランの人生を奪ってしまう。
しかし、ルーメイ側の意見ではそれは逆転する。ただ、そのルーメイは本当にルーメイなのかどうかは明らかでないという混乱ぶりで、ふたりの本来の姿はいまひとつ理解できなかったこともあり、思わせぶりでゆったりとした展開にもまったくついていけなかった。
三浦春馬演じる良の位置づけがどうにも中途半端に見えたのは気のせいだろうか。恐らく生き残ったのはルオランなんだと思うのだけれど、そのルオランがルーメイになりすますことで自分の人生を取り戻したのだとしたら、単に良は振り回されただけということになるのだから。
それから「5分遅れた時計」というものの意味合いもピンと来なかった。しかもその罰で自分だけ生き残ったなどとのたまう良は、またルーメイに5分遅れの時計を贈るというのはどういう意味なんだろうか。縁起が悪そうだけれど。
原作とは異なる日本と中国との合作になっているようだ。出会いのきっかけとなる「時計を贈る」という行為は、中国では、その発音が死を連想させ、プレゼントに時計は贈らないのだとか。