第64回ベルリン国際映画祭で『グランド・ブダペスト・ホテル』や『6才のボクが、大人になるまで。』を退けて、金熊賞と男優賞(銀熊賞)を受賞した作品。

 監督はこれが3作目となるディアオ・イーナン。主演には『ライジング・ドラゴン』にも出ていたリャオ・ファンと、日本にもファンは多いというグイ・ルンメイ『藍色夏恋』『海洋天堂』『GF*BF』など)。

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  ある石炭工場で切断された遺体の一部が見つかる。それらは別の地域にある工場でも次々と発見される。刑事のジャン(リャオ・ファン)は犯人を追うものの、ちょっとした油断で容疑者につながる人物を失い、自分もケガを負って警察を辞めざるを得なくなる。5年後、似たような事件が発生すると、その被害者の周囲には、最初の事件の被害者の妻であったウー(グイ・ルンメイ)の存在があることが判明する。

 

 長回しの場面も多いのだが、アクションの場面などはちょっとぎごちない感じもした。警察の失敗で容疑者に拳銃を渡してしまい銃撃戦になる部分などは、銃が床に落ちてからの警察の反応の遅さにちょっとびっくりした。また、スケート靴での殺人というのは意表をついているけれど、そのアクションがうまかったとは思えなかった。

 逆に、トンネルを抜けると途端に雪国に移行することが、そのまま時間の経過を表すという場面はとても素晴らしかったと思う。それからウーがスケートで逃げるように滑り続けるのを、カメラがどこまでも追っていくという場面もよかった。歩いたり走ったりするのとは違って、何の上下動もなく移動しているのを、クローズアップで見せるという演出は奇妙な感覚だった。

 男を惑わせる女(ファム・ファタール)といい、夜の場面も多いところからしてもフィルム・ノワールの作品ということなのだろうと思う。ウーは意図せずにファム・ファタールになってしまうという存在で、儚さと強さが同居しているといったグイ・ルンメイはよかった。それにも関わらずあまり陶然とするような時はなかったようにも思う。手法に意識的なのはわかるけど、あまりこなれてないからだろうか。