『スイートプールサイド』松居大悟監督の最新作。

 主演には橋本愛と蒼波純。

 この映画の主人公・詩織(橋本愛)のあこがれの存在を演じるのは大森靖子で、この映画は彼女のミュージックビデオが元になっているとのこと。大森靖子という存在をどう説明すればいいのかはわからないが、椎名林檎的な憑依型のシンガーソングライターで、言わばちょっと普通じゃない世界を持っている。それは男に媚びるようなことがないガーリーな世界らしく、だからこの映画のキャッチコピーも「さよなら男ども。」だ。

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 中学生の亜弓(蒼波純)のあこがれは、動画配信などで“かわいすぎるキャラ”(あまりウケてない)を演じているマイナーなネットアイドル・詩織(橋本愛)。そんな詩織のあこがれはあるミュージシャン(大森靖子)で、彼女たちはゴシックロリータの格好に身を包んでいる。

 詩織は一応彼氏と同棲しているけど、そこに亜弓が転がり込んでくる。普通なら三角関係を形成しそうな展開だけれどそうはならない。その関係からはじき出されるのは彼氏で、詩織は亜弓と女の子同士の世界を形成することが最高だと知ってしまう。だからそこで「古い世界」は終わりを告げ、「新しい世界(ガーリーな世界)」がやってくる。そんな「古い世界」の男たちはゾンビになって生き永らえるほかなく、少女たちはワンダフルな「世界の果て」、桜の花と菜の花の咲き乱れる場所へとたどり着く。

 

 松居大悟の登場人物は突拍子もない予測不能な行動をとるようだ。『スイートプールサイド』のときはそれが狂気に見えたのだけれど、『ワンダフルワールドエンド』ではアンビバレントな葛藤が登場人物にそんな行動をさせている。亜弓は詩織へ想いが通じたとき、なぜかそれを受け入れられずに逃げ出してしまう(多分すぐには信じるほどができないほど嬉しかったから)。また、亜弓の母は亜弓を詩織から引き離そうとするわけだが、亜弓の反抗に遭って訳のわからない行動をする(あまりの意外性に一拍子おいて笑えてきた)。

 この映画の世界観は大森靖子の歌に彩られているけれど、その大森靖子のファンだという橋本愛は主役を楽しそうに演じていて、いつも以上に橋本愛が魅力的な映画だったと思う。世界が崩壊するあたりのシークエンスで、橋本愛がひとりで踊り出すところが何ともよかった。

 芸能事務所の社長を演じていた利重剛は『スイートプールサイド』にも出ていたけれど、橋本愛の主演作『さよならドビュッシー』の監督でもあり、橋本愛をやさしく見守る人のいい感じがよかった。