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 ゾンビ映画にそれほどの執着心もなく、そのトレンドについてもほとんど知らないのだが、監督がSABUだということでちょっとレンタルしてみた。SABU作品は初期の作品は観ているのだけれど、実は久しぶりの鑑賞。
 タイトルにあるように、主役はゾンビである。ある邸宅で雇われているという妙な設定。しかも、そのゾンビが元は若い女性だからといって、邸宅の主人やその他の男たちは、彼女を性的対象にもしてしまう。
 『Miss ZOMBIE』でのゾンビは人間に飼い馴らされたようで、人間と共存している存在。ゾンビとは言え、限りなく人間らしいのだ。死にかけた人間もゾンビ化すれば、生き永らえられるというのもユニーク。ゾンビ化が死を逃れるための唯一の方法としてあるという……。
 主役のゾンビを演じるのは小松彩夏。実際には、かわいらしい女の子。今回はゾンビメイクということで、顔に傷をつけられ、目は生気のない状態でちょっとかわいそうな扱い。後半の回想シーンでは、ちょっとだけ素顔を見せてくれる。

 ※ 以下、ネタバレもあり。

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 この映画でのゾンビは妙に人間らしいのだが、逆に恐ろしいのが狂気に陥った母親。息子はゾンビ化し、夫はゾンビ娘に入れ込んでいるとなれば致し方ないかも。ゾンビより人間が恐ろしいというのがおもしろい。母親役には、園子温監督の『恋の罪』でもハイテンションの演技を見せた富樫真。そのすごさはモンスター級だった。この映画でも日常的な場面での演技は過剰だと思うけれど、狂ってからはやっぱり魅せてくれる。全体的には淡々と進む『Miss ZOMBIE』で、一番の胸踊るシーンは、狂った富樫真が銃を持って邸宅から飛び出してくるところ。人間とは思えないような走り方で唖然させられた。