サイの角のように 独りよがり映画論

映画について自分勝手な感想の備忘録。ネタバレもあり。 ほかのブログから引っ越してきました。

染谷将太

『ソレダケ/that's it』 石井岳龍の爆音ムービー

 石井聰亙改め石井岳龍監督の最新作。

 『狂い咲きサンダーロード』の系列のハイ・テンションな話で楽しめた。出演陣も意外に豪華で、日本映画の旬な人材が顔を揃えていると思う。

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 『生きてるものはいないのか』の主役だった染谷将太と、『シャニダールの花』の主役だった綾野剛が、物語のなかで対立する大黒砂真男(染谷)と謎の極悪ギャングのボス千手完(綾野)をそれぞれ演じている。染谷の役柄は髪型とか車イスに乗るところが『ストレイヤーズ・クロニクル』の役を思わせてしまうのが難点かもしれないが、綾野剛はそれほど出番は多くないけれどカッコよく決めている。そのほか渋川清彦村上淳なんかも絡んできて、なかなか騒がしい。白黒で始まった映画が次第に色を持ち始め、最後はマンガチックな対決へと向かっていく。

 吉村秀樹率いるロックバンド「ブッチャーズ」の爆音ロックが響き渡り、作品の激しいイメージを決定づけている。『生きてるものはいないのか』でもノイジーな音楽が印象的だったのだけれど、『ソレダケ/that's itの「ブッチャーズ」の爆音もクセになる。「ブッチャーズ」のボーカル吉村秀樹は亡くなってしまったらしいのだが、この作品は「ブッチャーズ」の楽曲が着想を得て作られたものだとか。

 紅一点の水野絵梨奈は元E-girlsなんだとか。アイドルみたいにかわいらしく見せようとしてないあたりは好感が持てたと思う。染谷とふたりで歩いてくる場面に育ちの悪さみたいなものすら感じられたのがよかった(もちろん役柄上のことだが)。どこか池脇千鶴っぽく見える瞬間もあり。

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『さよなら歌舞伎町』 ラブホテルを舞台にした健全な人間模様

 テアトル新宿でやる映画はエロい映画が多いのだけれど、なぜか女性客も多い。ぼくが観たのはサービスデーの最終回だったが、劇場は満席で、女性客の割合が結構高かった。染谷将太のファンとか、元AKBの前田敦子のファンとか、そうした特定の客が押し寄せたのだろうか?

 『さよなら歌舞伎町』はピンク映画出身の廣木隆一監督と、ロマンポルノで多くの脚本を書いた荒井晴彦のコンビ作品。だからこの映画もそれなりのカラミの場面も登場する。ちなみに元AKBのあっちゃんにはそんな場面はない。その代わり味のある(?)ギターの弾き語りを見せてくれる。

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 物語はラブホテルを舞台にした群像劇。そこの店長をしている染谷将太を中心にして、その周囲の人々を描いていく。歌舞伎町を舞台にしているからか韓国人のキャラも登場して、デリヘル嬢のヘナ(『メビウス』に出ていたイ・ウンウ)のエピソードが一番印象に残る。そのほかには指名手配犯の女とか、不倫をしている刑事カップルとか、様々なカップルがラブホテルに現れる。

 個人的にお目当てだったのは我妻三輪子『恋に至る病』という映画で主役だった子で、顔のパーツがすべて丸くてかわいらしかったのだ。この映画では、街で会った男のところを渡り歩いている可哀想な家出少女の役だ。男(忍成修吾)に連れられてラブホテルにやってきたものの、風呂に入っていないから臭くて最初にシャワーを浴びて来いと言われるというせつなさ(シャワーシーンでは後姿のヌードも一瞬だけあってちょっとドキリとする)。結局、バカな家出少女を惚れさせて風俗に売り飛ばそうと考えていた男は、人を疑うことを知らずあまりに素直なところに惹かれたのか逆に惚れてしまうという……。我妻三輪子の笑顔はとてもほんわかする。

 全体的には登場人物はいい人ばかりで、歌舞伎町を舞台にしていながらも意外にも健全で楽しめる群像劇となっていると思う。


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